正しい経営よりたのしい経営〜その1〜

 


『 正しい経営よりたのしい経営〜その1〜』

 

時々、この話を思い出して読み直します。

経営者にとって耳の痛い話です。

 

少し長いですが、とても大切なお話です。

 

経営の本質は経営者が楽しむこと

 

『正しい経営より、たのしい経営が重要』というお話です。

 

いったいどういうことなのでしょうか?

実は、これが経営の本質ともいえる大切なエピソードを紹介します。

 

“どうしたら、お客さんに喜んでもらえるか?”

 

【ある宿の経営者からの相談】

 

 

経営者;

「10年前は、観光客が2倍来ていた。その時は、この宿にも今の2倍のお客が入っていた。今は10年前に比べて、観光地そのものに入るお客が半分になっているので、この宿のお客も10年前の半分になってしまった。

 

観光地を訪れてくれる人がいなければ、この宿にも人が来ないということが分かり、全国に観光のキャラバン隊を繰り出して、名前を知ってもらおうかと思っている。

 

そのために、観光協会や商工会などからお金を出してもらい、協力を取り付けて、これからそのような運動をする。」

 

 

経営者;

「それ以外に、お客を増やす方法があったら教えてほしい。」

 

と頼まれたそうです。

 

そのお方は、笑いながらこんな話をしたそうです。

 

お方;

「10年前は、観光客の数が2倍だったのですね。その時は、今の2倍のお客さんが来ていたのですね。そして、今は観光客が半分で、お客さんも半分なのですね。」

 

経営者;

「そうです。」

 

 

お方;

「では、経営者は小学生でも中学生でもいいではありませんか?経営者として、何もやってこなかったということになりませんか?」

 

この話を聞いとたん、たくさん話をしていたその経営者は、突然、黙ってしまいました。

 

そのお方は、笑顔でそのまま話を続けました。

 

お方;

「観光地に2倍の人が来ていた時には、この宿にも2倍の宿泊客が泊っていました。人が来なくなったら、それに応じて来なくなったということは、宿そのものに魅力や価値がどこにもないということになりませんか?」

 

「“どうしたら、この宿に人が来るのか?”“どうしたら、売り上げが上がるのか?”“どうしたら、利益が確保できるのか?”と考えているうちは、答えは出てこないと思います。質問が間違っているからです。」

 

 

「質問は、どうしたら来たお客さんに喜んでもらえるか?です。これを考えていくことだと思います。」

 

宿の経営者として一番楽しい部分が、この“どうしたら、お客さんに喜んでもらえるか?”を考えることだと。

 

『正しい経営』を志したときには、「コストや売上げ」・「伸び率」・「労働分配率や減価償却比率」、あるいは「借入返済の計画をどうするか?」を考えることが、“正しい計画”を立てるということになるかもしれません。

 

しかし、『正しい経営』というものを考えているうちは、本質的なものが見えてこないような気がします。

 

本質的なものとはいかにお客さんに喜んでもらえるか?”ということです。

 

経営者はそのことを考えているときが、最も楽しい時間であるのではないでしょうか。


  

 

 

  
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